コロナ禍がくれた天売島と向き合う貴重な時間。それは私に一つの思いをもたらした。
自分が心動かされる天売島の奇跡、即ち大宇宙に抱かれた人と海鳥の命の営み。ケイマフリなどの美、そして命のぬくもり。それらを詰め込んだ一冊をつくろうと……。数万カットすべてからセレクトして、天売島の「小さな宇宙」を表現しようと考えた。つまり現時点での集大成をつくるのだ。世界中に閉塞感が漂うコロナ禍だからこそ、天売島の命のぬくもりを届けようと思い立ったのだ。
落ち込んだ島の観光も、早く元に戻さなければいけない。200部は、天売島の貴重な自然環境を伝えるツールとして、町・観光協会とともに活用する。
表現の世界は、いくら時間をかけて仕事をしてもゴールはない。これから私がさらに経験を積み、機材が進歩することで、見たことのない天売島を追求しようとする姿勢は変わらない。これまで天売島と並行して進めているのは、海鳥の視点で地球の海洋環境を記録し、それを使って海や地球の神秘を伝える仕事だ。これまで北極域、ベーリング海、オホーツク海、太平洋の熱帯域などの取材をしてきて、ニュージーランドから南が取材の空白地として残っている。コロナ禍で先送りとなっている亜南極取材を、早く実現させなければならない。この『OCEAN BIRD』プロジェクトに、この先全力を傾ける。
海を通して尊い地球の姿を伝えるミッション。そのための時間はそう残されていない。