『BIRD ISLAND TEURI』刊行のその先へ Vol.3-2

毎年、パシフィコ横浜で開催される、カメラと写真用品の巨大イベント「CP+」。私は、2020年2月末のそのイベントで、ソニーブースの超巨大モニターに天売島のケイマフリを踊らせるはずだった。しかし、コロナがそのイベントを中止に追い込んだ。それが2020年の始まりだった。

国の緊急事態宣言発出直後のゴールデンウィーク、鳥のピークを迎えたのに天売島に観光客は来ない。忘れたころぽつりとフェリーから下船する見知らぬ人へは、島民の複雑な視線が注がれた。春本番から夏へと向かうなか、海鳥たちは声高らかに謳うのに、島の空気はコロナへの不安でどこかピリピリしていた。

時間の流れとともに100万の新しい命が誕生し、子育てへの奮闘に淀みない海鳥たち。私はというと、島外の一切の仕事が消えて島浸りの生活を強いられたぶん、海鳥たちと過ごす時間がたっぷりできた。夜明けから日没まで、ときには夜のウトウに至るまで、鳥たちや周囲の風景に正面から向き合うことに専念した。

そのうち、ある考えがしだいに膨らんでいった。