2019年4月から本格的に始動したケイマフリ巣内調査は、2020年の繁殖シーズンを終えて2年間のデータを収集することができた。調査に使用したのは4K録画対応の小型カメラと録画機で、二つを20メートルケーブルで結ぶことで巣から離れた場所で遠隔操作ができる仕組みを構築した。これにより鳥への影響がかなり少ない状態で、ペアやヒナの詳細な行動を緻密な画質で記録することができた。なお、調査は国・道・町の許可を得て実施した。
調査を阻む険しい地形と厳しい気象
調査地は、高さ100メートルの岬の突端にある垂直に近い断崖だ(右写真の赤円内)。こうしたケイマフリの繁殖環境が、この手の調査をこれまで難しくしてきた。また、強い風雨にさらされやすく、機材はそれに耐えられる防水対策を行う必要がある。危険な断崖での設置作業など数ある悪条件を克服して、世界で初めてとなる調査で成果を上げた。
調査1年目の2019年では2卵が確認され、ヒナ2羽が孵化して2羽とも巣立ったとみられる。2020年も2卵を産んだものの孵化は1羽にとどまって、無事に巣立ったものとみられる。2年の繁殖スケジュールは表1をご覧いただき、2020年の繁殖結果を写真とともに少し詳しく紹介する。